厶仁先生
ドラピオン♂
企画学園アークのハロウィンイベント絵。
紫電ちゃん(葡萄さん宅ルクシオ♀)と共演。
゜・*:.。. .。.:*・゜
「バッチーンっっ」
静電気のようなものが腰に走る。それで、ぶつかって来たのが一人の生徒だとわかった。
「廊下は走るんじゃない」
「えっへ♪こんなとこいんだもんっ探しちゃったよぉ」
そう言いながら右手を挙げてクルクルと回す。走り回ったということだろうか。
紫電は厶仁が勤める学園の生徒だ。雷の特殊能力が異常に高く、(不思議)静電気体質である。
そして厶仁はふとしたことから彼女から懐かれている。
「ねっねっトリックオアトリートなんだよ!!」
「…?」
「えぇぇー!!トリックオアトリーーーっとぉ!!」
今度は両手をバタつかせ始めた。
そこでふと、少女の服装に気付く。オレンジの帽子に赤いマント。
ポシェットの中には大量のお菓子。
「あぁ、なるほど。今日はハロウィンか」
「ぷんぷん!!なんでこんな楽しい日を忘れられるんだよーお」
「今日は研究が終わってないか…」
「しょーがないっあたしのお気にを貸したげよおっ」
満帆だったポシェットから蝙蝠の羽を象ったカチューシャが差し出される。
…正直28才にはキツイ
「嫌、遠慮して…」
「うぃっ!!しゃがんでしゃがんで♪」
「だから…」
「むむむ〜えーいやぁっ」
妙なかけ声と共に、紫電が後ろから飛び付いてくる。
同時に走る電撃。
「いっ」
「うぉっキタキター!!」
その隙に飾りは装着完了。
「こっこら」
「おおぉ似合うよー」
似合ってたまるか、28才。
いかんせん、頭脳派の自分は、運動神経のいいこの少女には勝てた試しがない。
「うしっこのままお菓子買い行こーっっ」
「せめて降りなさい」
「やっだー♪お菓子くれなかったからイタズラしちゃうの」
「早く早く」と急かされて、彼女をおんぶしたまま歩き出す。
「全く仕方がないな」
他人とこんな風に、戯れる日が来るとは思わなかった。
学園に勤めるようになってから、自覚するほど私は変わった。
以前なら、背中にある重みを温かいとは思わなかっただろう。
この変化を嬉しいと感じてしまう自分も
自分に抱き着いて笑う彼女も
「本当仕方ない」